ストーリーアイコンSTORYストーリー

第8話 変わらない過去 前編(1)

トルエノアイコン

「今の状況なら生きて出る方法はコレしかねぇ・・・」

ミオアイコン

「例えそうだとしても・・・それだけで罪になりかねない」

トルエノアイコン

「だが大人しくしていようが何をしようが殺されちまうだろうからな」

トルエノアイコン

「2つに1つだ・・・大人しく処刑しょけいされるか最後まで足掻あがいて生きる可能性をつかみ取るか」

ミオアイコン

「何にしても貴方あなたの責任問題になると思うけど・・・」

トルエノアイコン

「まぁ、刑が執行しっこうされるまでの数日間の間にろうから外に出れるだけの横穴でも気付かれずにれば良いだろうけど?」

ミオアイコン

「・・・無理そうなのは分かった・・・」

トルエノアイコン

「本当ならもっとリスクのない方法があるならそっちの方がいい・・・かなり無謀むぼうけになるからな・・・」

トルエノアイコン

「それでも・・・見たくなねぇからな」

トルエノアイコン

「無実の奴が死ぬのも・・・」(兄貴が変わっていくのも・・・)

そんなトルエノの表情には先ほどまでの軽い印象は微塵みじんも感じさせなかった・・・。

ミオアイコン

「・・・で、その作戦・・・勝算はどれくらいなの」

トルエノアイコン

「普通の奴なら不可能だろうが・・・アンタなら可能性は十分あるはずだ」

ミオアイコン

「・・・20%って感じかな・・・五体満足で出れることをいのるばかりね・・・」

トルエノアイコン

「・・・フッ、あんまり乗り気じゃなさそうだからすでに生きるのあきらめちまってるのかと思ってたぜ」

ミオアイコン

「私は死に場所求めてここに来た訳じゃない」(生きて出て行かせてもらう・・・)

静かに地図をながめる2人・・・。

ミオアイコン

「裁判が開かれるのはこの場所よね・・・」

トルエノアイコン

「あぁ」

ミオアイコン

「でも、ここでの動きは基本ノープランなんでしょ?」

トルエノアイコン

「基本的にはそうなる、俺がアレコレ想定するより現場判断の方が良いこともあるだろうからな・・・」

トルエノアイコン

「ただ、警備には吹き矢を使える奴が3人いる・・・おそらくこの配置なら・・・この配置」

ミオアイコン

「あら、すきがない・・・確かにこの配置なら互いに視覚をある程度補えるいい配置・・・」

トルエノアイコン

ちなみに・・・アンタに使われたのは熊用の麻酔ますいだったらしい」

ミオアイコン

「え・・・?最初から殺す気だったんじゃない・・・それ」

ミオアイコン

「・・・で、仮に運よくこの区間を突破とっぱできたとして・・・その後は・・・?」

トルエノアイコン

「俺の部屋までくれば・・・前にいる子が部屋の鍵を開けてくれる・・・あとはバルコニーからおさらば」

ミオアイコン

「でもそれをすると完全に共犯だし・・・」

ミオアイコン

「それに・・・あのお兄さんがこちらの動きを想定して編成を変える可能性も十分にある・・・」

トルエノアイコン

「それも含めて現場判断になるってのもある・・・」

ミオアイコン

「半分以上が運次第じゃない・・・?これ」

時計に視線を移したトルエノ・・・。

トルエノアイコン

「そろそろマジで時間だな・・・」

トルエノアイコン

「俺ができるのはここまでだ・・・」

ミオアイコン

「別に・・・もう十分助けられている」

トルエノアイコン

「今度あったら色々知ってること・・・聞かせて貰うからな」

ミオアイコン

「教えられることがあるかは別にして感謝はしてる」

トルエノアイコン

「まぁ、切り札は最後まで取っておけよ・・・自分の手の内は見せるな」

トルエノアイコン

「じゃあな・・・絶対出ていけよな・・・ミオ姫様?」

トルエノはそう言い、目を合わせることなく肩をポンポンっとたたいて行った・・・。

ミオアイコン

「!・・・今、私の名前言った?・・・」(今の名前は知らないとか言ってたのに・・・ちゃんと知ってるじゃない・・・)

そうしてトルエノと入れかわわるように入って来たメイド服の女性が口を開く・・・。

クレア

「トルエノ様から貴女あなた様をご案内するようにおおせつかりました」

クレア

「どうぞこちらへ・・・」

ミオアイコン

「え!?・・・あ・・・はい・・・」

予想よりはるかに丁寧ていねいに対応され少し戸惑とまどったミオの様子に女性は心なしか微笑ほほえんでいた・・・。

女性に案内されるがままついて歩くミオだったが・・・前方から騎士団員が近づいてきた・・・ミオ達をぐるりと取りかこんだ団員達の中の1人が女性に声をかける。

騎士団アイコン

「ご苦労くろう・・・後は我々が引き受ける」

そうなわしばろうとした団員に女性は言った。

クレア

「お待ちください!この方になわなど必要ありません」

クレア

「私はこの方にずっと背を向けておりました・・・ですが見ての通り私は生きております・・・」

クレア

「もしこの方が逃げる気ならすでに逃げておられるはずです!」

ミオアイコン

「・・・」(嬉しいけど・・・これから逃げる気だとは言えない・・・)

兵士アイコン

「これは規則だ・・・いかなる理由があろうと例外は認められない」

クレア

「・・・」

ミオアイコン

「別にしばって貰って構わない」

クレア

「・・・宜しいのですか?」

ミオアイコン

「ええ」

不安そうにしている女性にミオは一言・・・。

ミオアイコン

「ありがとう」

クレア

「いえ、私は何もしておりません」

自らしばって良いと言う言葉が信じられない様子の一同・・・。

ミオアイコン

「規則でしょ?って言うより・・・そうしないとヤバイって顔に書いてある」

そう言われた団員達は思わず顔を見合わせる・・・。

ミオアイコン

「・・・」(いや本当に書いてある訳じゃないけど・・・)

ミオアイコン

なわ一つで貴方あなた達の上司が安心できるのならそれでも良い・・・」

兵士アイコン

「・・・」(何か・・・娘1人に負けている気がする・・・)

ギュッと手首をめつけるなわ・・・その次に施された目隠しにより視界から光は消え何もない暗闇だけが広がった。

第8話 変わらない過去 前編(2)

そんな状態で歩かされているミオはふとある場所の違和感いわかんを感じる・・・。

ミオアイコン

「・・・」(これは・・・風・・・ここだけ他の場所と風の流れが違う)

そんなミオがトルエノとの会話を思い出していた時・・・周囲の雰囲気ふんいきの変化に足を止める。

ミオアイコン

「・・・」(ここに入ったら急に空気が張り詰めた・・・どうやら着いたみたいね・・・)

目隠しを外され急激に差し込む多くの光はとてつもなくまぶしく思わず視線を落としたミオ・・・。

その姿を見た者達がざわめいていた・・・。

騎士アイコン

「あれが・・・若いとは聞いていたが・・・まだ子供だ・・・」

騎士アイコン

「信じられん・・・あんな子供にあのようなあやめ方ができるのか?」

ミオアイコン

「・・・」(こ、子供って・・・少しでも私がやった訳じゃないって思ってくれるのはうれしいけど・・・)

ミオアイコン

「・・・」(でも・・・私はここから抜け出さないといけない・・・この先のために)

裁判官アイコン

静粛せいしゅくに・・・」

たったその一言で空間に沈黙ちんもくが広がった・・・。

ミオはその言葉をはなった人物の後ろ・・・二階の影に目を移した・・・。

ミオアイコン

「・・・」(配置がそのままである事を願いたいところね・・・)

裁判官アイコン

「これより・・・騎士団襲撃事件きしだんしゅうげきじけん裁判さいばんり行います・・・」

ミオアイコン

「・・・」

ミオの裁判さいばんが始まっていた頃・・・一方レイテル付近の上空では・・・。

チェリーが不思議そうにナイトにたずねる。

チェリーアイコン

「そう言えば・・・ナイト・・・急に強くなったよね・・・」

ナイトアイコン

「そう・・か?」

チェリーアイコン

「うん、でも獣人じゅうじん相手に戦ってた時の動きって・・・そう簡単にできるようなものじゃないよね・・・誰かに習ったことがあるの?」

ナイトアイコン

「誰かに習ったって・・・」

ヴァンリートアイコン

「半分ぐらいは今まさに、私達が追いかけている者ではないか・・・?」

ナイトアイコン

「あぁ」

チェリーアイコン

「え・・・!?ミオが・・・?そんな事してたの私見てないよ?」

ヴァンは鼻で笑う。

ヴァンリートアイコン

「フッ・・・当然だ・・・丁度ちょうどお前が私と交代で休んでいた時の話しだからな・・・」

チェリーアイコン

「えー!!・・・私だけ知らなかったなんて・・・」

ナイトアイコン

「あはは・・・とはいえ別に派手に修行してた訳じゃなくて・・・ほとんど話してただけだからな」

チェリーアイコン

「どんな話?」

ナイトアイコン

「・・・確か・・・あの時足音が聞こえて目が覚めたんだ・・・」

八岐大蛇ヤマタオロチをなんとか倒すことに成功し夜明けもだいぶ近づいた頃だった・・・。

ナイトアイコン

「・・・!」(足音・・・!?)

かすかな足音に気づき目を覚ましたナイトは体を起こしそちらに視線を向ける・・・。

ミオアイコン

「あ、ごめんなさい・・・起こしちゃったみたい・・・」(相当気を張っていたようね・・・)

ナイトアイコン

「いや、俺は大丈夫・・・」

ナイトアイコン

「だけど、もう歩き回っていいのか?」(あんな大怪我おおけがしてたのに・・・)

ミオアイコン

「?・・・怪我けがの話し?うん、もう大丈夫少し休んだし」

ナイトアイコン

「大丈夫って・・・少し休んだらどうにかなるレベルだったけ・・・」

ミオアイコン

「・・・私は少なくとも普通じゃないから・・・ね・・・」

ミオアイコン

「そう言えば寝てたんだよね・・・もし私がいて寝づらいとかだったらあっちに行くけど」

ナイトアイコン

「寝づらいとかは無いけど・・・ミオは寝なくて良いのか?」

ミオアイコン

「私は眠くならないし・・・必要もないから」

ナイトアイコン

「眠くならないって・・・今までも眠らずに生活してたのか?」

ミオアイコン

「えぇ・・・まぁ、ほとんどはね」

ナイトアイコン

「・・・」(どうなっるんだ・・・身体の作り)

ミオアイコン

「私のことは気にしなくて良いから・・・ナイトは寝た方がいい」

少し考えたミオは背を向けその場を去ろうとした。

ミオアイコン

「やっぱり、私向こうに行く・・・話しはまた明日・・・」

ナイトアイコン

「ちょっと、待って」

ミオアイコン

「!!?・・・」

先ほどまで座っていたはずのナイトに腕をつかまれたことにおどろきを感じるミオ。

ミオアイコン

「・・・どうしたの?」(この速さは契約けいやくによるもの?・・・さっきの戦闘の動きといい、契約直後けいやくちょくごからこんなにも力を使える人間は見たことない・・・)

ナイトアイコン

「聞きたいことがあって」

そう笑顔で言うナイト。

ミオアイコン

「・・・え・・・ん?・・・何を?」

ナイトアイコン

「いや・・・どうやったら魔族まぞくのと戦えるようになるのか聞きたくて・・・」(今の俺じゃ力不足だから・・・)

ミオアイコン

「・・・逆になんでそんなに強くなりたいの?」

ミオアイコン

「別に強くなって戦うより、逃げた方が生存確率が高いことだってある・・・」(今のナイトのスピードなら逃げ切ることも可能だと思うし)

ナイトアイコン

「俺は・・・ただ逃げることしか出来ないなんて嫌なんだ・・・」

ミオアイコン

「・・・それにしても・・・私みたいに戦えるようにね・・・」

ミオアイコン

「ナイトが今のスピードで成長したら・・・すぐに私より強くなるかもしれない・・・」

ナイトアイコン

「それは・・・流石さすがに無理じゃない?・・・」

ミオアイコン

「意志を強く持っていられること・・・それは何よりも強くなるために大事なこと・・・」

ミオアイコン

「だけど・・・そうね・・・戦うために必要なこと・・・」

ミオは少し考えた後・・・。

ミオアイコン

「1つ言えるのは・・・戦う時に相手の特徴とくちょうを見極めることを意識した方が良いってことかな・・・」

ナイトアイコン

特徴とくちょうを見極めるって・・・どうやって?」

ミオアイコン

「一番わかりやすいのはやっぱり見た目かな?・・・」

ミオアイコン

「人外相手の場合って大体見た目で分かることが多いの・・・」

ナイトアイコン

「そ、そんな見た目で分かるの?」

ミオアイコン

「うん、例えば・・・火をあやつれる者だったら周囲のマナも影響えいきょうされて火花が見えることもあるし・・・爪が発達していたら近接攻撃を好む傾向けいこうがあったりするから」

ミオアイコン

「でも・・・これはあくまで今までの傾向けいこうって言うだけで今後どう変化するかは分からない・・・」

ミオアイコン

「ただ・・・相手の動きを観察して悪いことは無いと思う・・・」

その後も戦闘についての会話が続き・・・。

第8話 変わらない過去 中編(1)

ナイトアイコン

「なるほど・・・」

ミオアイコン

「まぁ、後は経験・・・自分なりの答えを見つける事が一番成長につながると思うから・・・」

そう言ったミオは思い出したように切り出す・・・。

ミオアイコン

「あと・・・今後何かあっても私をかばったりないで・・・」(・・・それで死なれたら・・・私が耐えられない・・・)

そううつむくミオだったが再び顔を上げ微笑ほほえみながら言った。

ミオアイコン

「ごめん・・・長話しちゃった」

ミオアイコン

「もう夜が明けそう・・・私は用事思い出したからナイトは少しでも眠ってね・・・」

するとナイトの返事を待つ事なくわずかな桜の花びらを残しミオは姿を消していた。

ナイトアイコン

「ちょっと、待てって・・・」

ナイトアイコン

「また、いなくなった・・・」(何か・・・幻みたいだな・・・)

そう言いながら先ほどまでミオの腕をつかんでいた手をながめるナイト・・・。

ミオはそんな様子を遠く離れた木の上から見ていた・・・。

ミオアイコン

「・・・・・・」(本当は関わってはいけない事・・・分かっているのに・・・私は1人で生きていかなくちゃいけないのに・・・)

ミオアイコン

「・・・・・・」(何か・・・いや・・・考えるのは止めよう・・・)

少しの間ナイトを見詰めた後すぐにその場を去った。

ナイトアイコン

「・・・!!」(今・・・何か見えた気がしたけど・・・気のせい・・・か?)

現在・・・レイテル上空

ナイトアイコン

「あとは・・・ヴァンの知っての通りだ」

ヴァンリートアイコン

「その後・・・私に修行を手伝えと言ってきたのか・・・」

どこか納得したように言っているヴァン・・・それを聞いていたチェリーは・・・。

チェリーアイコン

「2人で話を進めて納得しないでよ〜」

チェリーは吹き飛ばされそうになりながら必死にしがみついている・・・。

ここはあくまで空の上・・・ナイト達は何事もないように話ているが結構な速度で飛んでいるためチェリーにとってその風の抵抗はかなりのものだった・・・。

だが何やら墓から持ってきた光る桜をながめ考え事を始めたナイトは気付いていない・・・。

ナイトアイコン

「・・・」(約束・・・何で・・・守れなかったんだろ・・・・・・?・・・約束・・・?)

ナイトアイコン

「・・・」(何か・・・記憶が曖昧あいまいでよくわからないことに・・・)

チェリーアイコン

「・・・・・・」(うでが・・・プルプルする・・・あ・・・もう無理!)

限界を超えチェリーの手はヴァンから離れてしまった!

ものすごい勢いで吹き飛ばされるチェリー・・・。

チェリーアイコン

「・・・!」(あれ・・・?)

ナイトアイコン

「悪いチェリー、考え事してて気づくのが遅れた・・・」

そう言いながら身を乗り出すようにしてチェリーの尻尾をつかんでいるナイト・・・。

ヴァンリートアイコン

「ナイト・・・お前落ちるなよ・・・」(あと私の羽毛をつかむのはいいが・・・引き抜いたりするなよ)

ヒョイッと体勢たいせいを立て直したナイト。

ナイトアイコン

「ふぅ、大丈夫・・・これくらいじゃもう落ちないよ」(・・・あ!・・・一枚羽を抜いてしまった・・・)

ナイトアイコン

「・・・」(・・・見なかった事に・・・いや、この件は風に流そう・・・)

ナイトは抜けてしまったヴァンの羽からパッと手を離すと・・・ものすごい勢いで後方に舞って行った・・・。

ナイトアイコン

「・・・」(予想以上に飛んで行った・・・何かものすごい罪悪感が・・・)

ナイトはヴァンに対して罪悪感を抱きながらも・・・風になびいているチェリーをヴァンの背中に下ろした・・・。

ナイトアイコン

「ナイト・・・今度お前の白髪しらが抜かせてもらうぞ?」

ナイトアイコン

「俺・・・銀髪ぎんぱつなんだけど白髪しらがって・・・見分けつくんデスカ・・・?」(バレてた・・・)

ナイトアイコン

「そ、そんなことより・・・」

チェリーアイコン

「はにゃ・・・何か・・・頭がクラクラする・・・」

どうやらしばらく逆さまになっていたためか頭に血がのぼってしまっているようだ・・・完全にへばっている。

ナイトアイコン

「大丈夫・・・か?」

チェリーアイコン

「ナイト!」

ナイトアイコン

「!?」

チェリーアイコン

「さっきはありがとう!もう死んだかと思った・・・」

チェリーアイコン

感謝感激雨霰かんしゃかんげきあめあられ!感謝してもしきれないよ・・・!もう何でも言うこと聞きます!」

ナイトアイコン

「いや・・・別にそんなにして欲しいことは・・・」(何か変になってる・・・!?)

ヴァンリートアイコン

「別にすぐにレイテルには着くのだから下で合流しても良かった気がするのだが・・・?」

チェリーアイコン

「早めに落ちてからの合流のメリットないでしょ!」

チェリーアイコン

「ヴァンのヴァカァァー!」(そう簡単に死ななくても落ちるのはこわいんだ・・・!)

ナイトアイコン

「ヴァン・・・お前・・・チェリーにからむの好きだよな・・・」

ヴァンリートアイコン

「私も以前は大人しく話しをしていたが・・・それを見てから何となくいじりたい衝動しょうどうられてな・・・」

チェリーアイコン

「どんな衝動しょうどうよ」

そんな会話をしている時だった、ヴァンは周りを見渡しゆっくり降下するとレイテルの城下町付近の木陰こかげに舞い降りた・・・。

ヴァンリートアイコン

「ここからは歩きだな・・・」

チェリーアイコン

「飛んで入るには見張りが多い・・・」

ナイトアイコン

「ここまで来た時点で俺たちの事・・・誰か1人ぐらいには何げ見付けられてそうだけどな・・・」

ヴァンリートアイコン

「まぁ、例えそうだとしても・・・この雰囲気ふんいきだ」

ヴァンリートアイコン

因縁いんねんをつけられそうなことは極力避けるべきだろう・・・」(どこまで話しの通じる奴かは分からんが・・・)

ナイトアイコン

「そうだな・・・」(そもそも・・・まだ生きているのかさえ・・・)

チェリーアイコン

「ねぇ、あそこ」

チェリーが指差したのは・・・。

街を囲むようにそびえ立つ壁・・・ではなくその先にわずかに見え隠れする人影だった・・・。

どうやら幸いこちらの存在には気づいていない・・・。

ヴァンリートアイコン

「何か話をしているな・・・」(それにしても・・・数の割にある意味警備がゆるくないか?)

ナイトアイコン

「でもここからじゃ会話の内容までは分からないな・・・」

音を立てない様に静かに近づくナイト・・・。

ナイトアイコン

「ここが限界だな・・・これ以上は流石さすがに気付かれる・・・」(いや別に直接聞いても・・・)

ヴァンリートアイコン

「あいつら仕事してるのか・・・?」(見張り慣れしてる者ならもう少し広く警戒けいかいしそうなものだが・・・)

第8話 変わらない過去 中編(2)

見回り1アイコン

「そう言えば・・・今日の見張り・・・交代少ない気がしないか?」

見回り2アイコン

「それは今やってる裁判のせいだろ・・・」

見回り1アイコン

「あぁ・・・あの変わった服の女の子か・・・」

見回り2アイコン

「また・・・処刑しょけいだろうな・・・」

三人アイコン

「・・・!!!?」(処刑しょけい!?)

見回り1アイコン

「これで何人目だ?」

見回り2アイコン

「・・・そんなの・・・もう覚えてないよ・・・」

見回り2アイコン

「だが・・・今回の一件、トルエノ様がエクティス様とめていたとか」

見回り1アイコン

「そんな話確かに聞いたな・・・確か意識の無い女の子を部屋に連れ込んだと、エクティス様がものすごい剣幕けんまくだったとか・・・」

三人アイコン

「つ・・・連れ込んだ・・・?」

ナイトアイコン

「・・・」(この国どうなってるんだ・・・)

見回り2アイコン

よめさんにでもするのか・・・!?」

見回り1アイコン

「い、いくら無類の女好きと言われるトルエノ様でも・・・いやトルエノ様だしな・・・」

ナイトアイコン

「・・・」(いや、どんな奴だ・・・?)

見回り2アイコン

「ものすごい奇策きさくを持ってそうではあるよな・・・」

そんな会話を聴き・・・少し離れた場所に再び集まった3人・・・。

ナイトアイコン

「・・・さっき・・・よめって・・・?」

チェリーアイコン

「本当なのかな・・・?」

ヴァンリートアイコン

「話からして・・・ミオがつかまったこと、今裁判にかけられていること・・・そして何らかの理由で王子が部屋に連れ込んだことは間違いないだろう・・・」

ヴァンリートアイコン

「後の話は個人的な主観がふくまれ過ぎている・・・」

ヴァンリートアイコン

「取りえず今は生きていそうだな・・・」

ナイトアイコン

「何にしてもミオを探しに行くか・・・城に・・・」

ヴァンリートアイコン

「丸腰で入っていきそうだな・・・お前」

チェリーアイコン

「何をするにしても中に入らないことには・・・」

そう壁を見上げたチェリーは何かを思いついたように・・・。

チェリーアイコン

「ナイト・・・この壁登れる?」

ナイトアイコン

「普通は無理だな・・・足場もないし」

ヴァンリートアイコン

「いや、私を足場にすれば登れる・・・」

ヴァンリートアイコン

「が・・・見張りが上にもいるだろう」

チェリーアイコン

「それがね・・・」

ナイト&ヴァンアイコン

「???」

チェリーアイコン

「いないんだよ」

チェリーアイコン

「って言っても今はいないって言ったほうが正しいかな?」

そんな時だった急に先ほど話ていた見張り達がざわめいている・・・。

ナイトアイコン

「・・・」(何だ?)

見回り3アイコン

「大変だ!裁判にかけられていた者が急に暴れ出したらしい」

見回り3アイコン

「今のところ死人は出ていないがかなり手を焼いているため最低限の見張りを残してあとは応援に回れとのことだ」

見回り1アイコン

「最低限って今でも十分少ないと思うんだが・・・あれだけの人数で手を焼くってどんなレベルなんだ」

チェリーアイコン

「あらら」

ヴァンリートアイコン

「まぁ、まともにやれば普通の兵では相手にならんだろうが・・・」

チェリーアイコン

「でもこれでもっと安全に入れそうだね」

ナイトアイコン

「そう言えば元々見張りが削られてるって言い方だったな・・・」

チェリーアイコン

「そう、少人数で広い範囲を見回ってるから一時的に見張りがいない時間が出来るんだよ」

ナイトアイコン

「っていうか・・・正面から入った方が逆にあやしまれなかったりは・・・」

ヴァンリートアイコン

「それも一理あるが、状況が状況だ・・・真っ当にしていようがつかまる可能性も否定できん・・・」

ナイトアイコン

「でも登ったところで入り口の見張りからは見えるだろ?」

そう言われたチェリーは自信満々に答えた。

チェリーアイコン

「そこは私に任せて!」

ナイトアイコン

「・・・」(意味なく不安だ・・・)

ヴァンリートアイコン

「・・・」(この上なく不安だ・・・)

そんなことを思っている2人を尻目にチェリーは壁の上に1度登りすぐに戻ってきた・・。

チェリーアイコン

「あと、2分35秒くらいしたら上に登っても平気だよ」

ナイト&ヴァンアイコン

「・・・・・・」(細かいな・・・)

ナイトアイコン

「さっきから気になってるんだけど・・・何をする気なんだ?」

チェリーアイコン

「私があの人達の気を引くからその間に上から中に入って」

ナイトアイコン

「気を引くって・・・だからどうやって・・・」

そんなナイトの疑問に答えることもなく・・・。

チェリーアイコン

「今がいい、早く上に登って中に!」

そう言い残しチェリーは走り去ってしまう。

ヴァンリートアイコン

「信じるしかなさそうだな・・・ナイト早く登れ」

ヴァンリートアイコン

「私の大きさでは流石に目立ち過ぎて無理だが中に入れる手伝いぐらいはしてやれる」

ナイトアイコン

「ヴァン・・・サンキュな!」

ナイトが助走をつけヴァンの背を足場に飛び上がった時・・・。

見張りの方へ走り去ったチェリーを一瞬いっしゅん包んだ桜吹雪・・・。

その中から姿を現したチェリーは猫のような姿に変わっていた。

見回り1アイコン

「何だ!?」

見回り1アイコン

「猫!?なのか?しかもピンク!??」

見回り2アイコン

「魔獣の一種か!?」

チェリー猫アイコン

「ニャー」

チェリーは兵士の顔を軽く引っいた後、肩を足場に頭の上に乗った。

第8話 変わらない過去 後編(1)

見回り1アイコン

「こ、この変な猫・・・早く取ってくれ!!!」

見回り1アイコン

「俺は猫が苦手なんだ!!」

チェリー猫アイコン

「フシャー」(失礼しちゃうよ・・・苦手なんて・・・って私は猫じゃなかった)

チェリーが見張り兵の頭の上で威嚇いかくしている頃・・・。

ナイトは壁をえて民家の上に降りていた・・・。

ナイトアイコン

「チェリー・・・化けられたんだな・・・」(でもリスってねずみに近そうだけど・・・猫って天敵だよな・・・)

ナイトアイコン

「・・・・・・」(何で猫なんだ・・・?)

ナイトアイコン

「・・・ここで考えていても仕方ない・・・取りえずここから降りるか・・・」

屋根をつたい路地へ飛び降りた。

その頃・・入り口では・・・。

見回り2アイコン

「ちょっと待ってろ・・・今とってやるから・・・大人しくしてろよ・・・」

チェリー猫アイコン

「ニャー!!」(ヤダよ、おバカ)

チェリーはご機嫌きげんな様子で捕まえようとしたもう1人の頭に飛び移るとそのまま街の方へかけて行った。

見回り2アイコン

「大人しくこっちに来て捕まれよ!」

見回り2アイコン

「くそっ魔獣を街に入れたなんてエクティス様に知れたら俺達の首が飛びかねない・・・」

そう言いチェリーを追いかけようとする見張り兵の様子に他の兵が思わず声をかける。

見回り3アイコン

「どうしたんだよ!?そんなにあわてて・・・」

見回り2アイコン

「ちょっちょっと用事が!」

見回り3アイコン

「おい、用事って・・・見張りはどうすんだよ」

見回り2アイコン

「悪いが少しの間変わってくれ!」

そう言い残し追いかけて行った・・・。

チェリー猫アイコン

「ニャー」(もう追いついてきた?)

そこへ路地から出てきたナイト・・・。

ナイトアイコン

「チェリー?」

ナイトは思わず追いかけようとするが・・・。

ナイトアイコン

「・・・!」

後ろから追いかけて来る兵士の存在に気づき再び薄暗い路地に身を隠す・・・。

ナイトアイコン

「・・・」(入り口にいた2人か・・・)

ナイトアイコン

「・・・」(まずどうやって助けるか考えた方が良さそうだな)

ナイトアイコン

「・・・」(とにかくチェリーを見つけない事にはな)

辺りを軽く見渡したナイトは屋根に再び登り屋根をかけて行く・・・。

その頃、チェリーはひたすら人の隙間すきまうように道を走っていた・・・。

チェリー猫アイコン

「・・・」(何か、とってもしつこい)

だがそんなチェリーの体が不意に持ち上げられた・・・。

チェリー猫アイコン

「ウェ?」(何?何かに捕まった?誰に?)

屋根の上からチェリーを見つけ様子をうかがっていたナイト・・・。

ナイトアイコン

「・・・」(チェリー・・・だけど・・・捕まってる!?しかも女の子に・・・?)

ナイトアイコン

「・・・」(これはどうするべきなんだ・・・)

チェリーを捕まえていたのは兵士ではなく小さな女の子だった。

いきなり持ち上げられて必死でバタバタしているチェリー・・・。

チェリーアイコン

「ニャー」(はなしてー)

そんなチェリーの元へやってきた見張りの兵達。

ナイトアイコン

「面倒な時に来たな・・・」(下手に動けない・・・)

チェリーをかかえた少女に声をかける。

見回り1アイコン

「おじょうちゃん、その猫ちゃん・・・おじちゃん達に渡してくれないかな?」

チェリーアイコン

「・・・???」(おじょうちゃん?)

そう言われた女の子は・・・。

女の子アイコン

「この猫・・・おじちゃん達が連れてた訳じゃ・・・ないよね?」

その声にチェリーは確かに聞き覚えがあった・・・。

チェリーアイコン

「・・・!!?」(何で・・・?そんなハズはないのに・・・?でも・・・この声は・・・)

見回り1アイコン

「そうだけどね、その猫ちゃんは・・・とーても危ないんだよ?」

見回り1アイコン

「人をいじめちゃうかも知れないんだ・・・だから・・・ね?」

女の子アイコン

「ダメ!渡さない!この猫はおねえちゃんの猫だもん!」

ナイトアイコン

「お、おねえちゃんの・・・?」

見回り2アイコン

「じゃ、じゃあお姉ちゃんの名前は何かな?」

女の子アイコン

「ミオ・・・ミオおねえちゃん・・・」

チェリーアイコン

「・・・・・・!!」(その呼び方で・・・この声は・・・もう1人しかいない)

ナイトアイコン

「・・・」(どういう事だ・・・)

女の子の言葉で確信を得たチェリーは冷や汗が止まらない・・・。

何故ならその声の主はもうこの世にいるはずの無い人間のものだったのだから・・・。

チェリーはおそおそる見上げ見えた顔は・・・まぎれもなくフェダリアだった・・・。

チェリーアイコン

「・・・」(フェダリア・・・どうして?)

見回り2アイコン

「ミオ・・・?ミオって確か今・・・」

見回り1アイコン

「でも顔も似てない気がするし・・・同じ名前なだけかも・・・?」

困惑こんわくし顔を見合わせていると・・・。

騎士1アイコン

「お前達!持ち場を他人に押し付けて何をやっている?」

見回り1アイコン

「も、申し訳ありません!」

2人は声をそろえてその声に応えた。

見回り2アイコン

「以前・・・知り合いから猫の逃げたと話を聞いておりまして」

見回り2アイコン

「その猫をたまたま見つけ飼い主に届けた次第であります!」

騎士1
アイコン

「・・・呆れて怒る気も失せた・・・もういいからサッサっと持ち場に戻れ!」

見回り1アイコン

「ハッ」

そう言ってそそくさと去っていく兵士達に手を振る。

フェダリア1アイコン

「おじちゃん達ありがとう・・・」

キョロキョロと周りを確認しゆっくりと下に降ろした・・・。

フェダリア1アイコン

「・・・」

フェダリア1アイコン

「チェリー・・・、ミオおねぇちゃんは一緒じゃないの・・・?」

第8話 変わらない過去 後編(2)

チェリーアイコン

「う・・・それは・・・」(むしろ今探してるって言うか)

フェダリア1アイコン

「そう・・・じゃあトルエノって人は?」

チェリーアイコン

「え?」

フェダリア1アイコン

「じゃあ・・・そっちのおにぃちゃんは?知らない?」

ナイトアイコン

「え・・・俺!?」(この距離で気づいてたのか・・・?)

そう言われ屋根から降りてきたナイトに女の子はたずねる・・・。

フェダリア1アイコン

「だって・・・おにぃちゃん・・・ミオおねぇちゃんの友達だよね?」

ナイトアイコン

「何でそう思うんだ?」

フェダリア1アイコン

「エヘヘ・・・おにぃちゃんから少しだけミオおねぇちゃんと同じ匂いがするから・・・」

ナイトアイコン

「匂い・・・?そう言えば桜の匂いが・・・」(って・・・この子やっぱりミオと知り合いって事だよな・・・)

フェダリア1アイコン

「うん!ミオおねぇちゃん桜のいい匂いがしてたの・・・」

すると女の子は思い出したように再びたずねる。

フェダリア1アイコン

「ねぇ、おにぃちゃん!トルエノって人、どこにいるか知らない?」

ナイトアイコン

「悪いけど・・・俺もこの街に来たばかりでよく知らないんだ・・・」

そう申し訳なさそうに答えるナイト・・・。

ナイトアイコン

「でも、何でそんなにトルエノって人を探してるんだ?」

しかしそうたずねられた女の子の答えに衝撃しょうげきを覚える・・・。

フェダリア1アイコン

「え・・・?だって殺せって言われたから・・・」

思わず言葉の意味を解っていないのではないかと思うほど平然と話す女の子。

ナイトアイコン

「え・・・」(聞き間違い・・・?)

思わず聞き返そうとしたナイトだったが・・・。

女の子はキョロキョロとあたりを見渡している・・・。

フェダリア1アイコン

「・・・呼んでる・・・」

ただその一言を残し走って行ってしまった・・・。

ナイトも急いで追いかけたのだが・・・。

ナイトアイコン

「・・・」

細い路地を走り抜けていく女の子を追ってきたナイト・・・だが角を曲がった直後にその姿を見失ってしまう。

ナイトアイコン

「き、消えた!?」

ナイトがおどろくのは無理もない・・・何故ならその場所は抜け道もない行き止まりだった・・・。

ナイトアイコン

「・・・」(右・・・左・・・下・・・後ろは隠れる場所も無かったはず)

ナイトアイコン

「だとしたら・・・上・・・?」(いや・・・子供じゃ無理だな・・・)

行き止まりの路地から見上げたナイトに見えるのは建物にさえぎられ切り取られたような空だけだった。

ナイトアイコン

「・・・ここにいても仕方ないな・・・」(1度戻るか・・・って言うか・・・)

ナイトアイコン

「・・・」(・・・思わずチェリー置いてきた・・・)

ナイトアイコン

「・・・」(何となく嫌な感じがする・・・)

そうして路地を後にするナイトの姿を見つめる影があった・・・。

ヴェルディスアイコン

随分ずいぶん街で遊んでいたようですね?フェダリア・・・何をしていたんです?」

フェダリア1アイコン

「・・・お散歩」

ヴェルディスアイコン

「そうですか・・・まぁ、いいでしょう」

ヴェルディスアイコン

「ところで貴女あなたを追ってきた銀髪の彼はお知り合いですか?」

フェダリア1アイコン

「・・・違うよ・・・」

ヴェルディスアイコン

「そうですか・・・」(不思議ですね・・・追って来たように見えますが・・・)

ヴェルディスアイコン

「しかし何となく生かしておくと面倒になりそうな予感がしますね・・・」

フェダリア1アイコン

「・・・」

それからしばらくして・・・路地から出てきたナイト。

そこには不安そうにポツンと座っている猫・・・ではなくチェリーだった。

ナイトアイコン

「・・・?チェリー」(何かこっちはこっちで様子が変だ・・・)

ナイトの姿を見るとけ寄ってきたチェリー。

チェリーアイコン

「良かった!無事だったんだ!」

ナイトアイコン

「無事?ってどう言うこと・・・?」

チェリーアイコン

「さっきナイトが行った方からすごく強い魔族まぞくの気配がして・・・」

チェリーアイコン

「だからすぐに探しに行ったけど・・・・わからなくて・・・1度戻ってきたところだったの・・・」

チェリーアイコン

「・・・それに・・・」

ナイトアイコン

「それに・・・?」

チェリーアイコン

「ナイトが追っていった女の子はフェダリアなの・・・」

ナイトアイコン

「!・・・フェダリア?って・・・まさか・・・あの?」

チェリーアイコン

「うん・・・1年前・・・死んだはずの・・・」

ナイトアイコン

「・・・ふーん・・・あの子が例の・・・」

そう落ち着き払っているナイト。

チェリーアイコン

「・・・全然・・・おどろかないんだね・・・」

ナイトアイコン

「いや、おどろいてはいるんだけど・・・何かここに来るまで色んな話聞いたからな・・・」

ナイトアイコン

「何か全くありえないとは思えなかったっていうか・・・」

チェリーアイコン

「な、なんて適応力・・・」

ナイトアイコン

「ただ・・・」

チェリーアイコン

「ただ?」

ナイトアイコン

「もし、1年前に死んだフェダリアだとして・・・そのフェダリアは何で王子を殺さなくちゃいけないんだ?」

ナイトアイコン

うらみを持つわけはないだろうし・・・殺せって言われたってことは別の誰かがいるってことだし・・・」(そんなことさせる目的は何なんだろう)

チェリーアイコン

「ナイト・・・」(ちゃんと考えられる人だったんだ・・・!)

ナイトアイコン

「・・・チェリー・・・俺のことすげー馬鹿だと思ってたろ・・・」

チェリーアイコン

「そんなことないよ!」

ナイトアイコン

「うわ・・・分かりやすすぎて逆に怒る気が失せるな・・・」

チェリーアイコン

「あのさぁ・・・」

ナイトアイコン

「あぁ、わかった・・・」

ナイトアイコン

「あの子も探したい・・・だろ?」

チェリーアイコン

「ナイト・・・いいの?」

ナイトアイコン

「?・・・ミオの事か?勿論もちろん探す・・・」

ナイトアイコン

「フェダリアも余裕よゆうがあれば探すつもりっと言いたいところなんだけど・・・」

ナイトアイコン

「どっちを探しても最後は同じ場所に行き着く気がする」

チェリーアイコン

「???」(何か・・・本当にちょっと前まで違う人みたい)

ナイトアイコン

「・・・」(チェリーが言ってた強い魔族はフェダリアと一緒にいるんだろう)

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「・・・」(ミオがその魔族の気配に気付けば・・・確実にフェダリアにも会うことになる・・・)

ナイトアイコン

「・・・」(その逆でもおそらくは・・・・)

ナイトアイコン

「じゃあ、俺はあっちを探しにいくか・・・何か気配を感じたらまた教えてくれよな」

そう言い歩き出したナイトをあわてて追いかけるチェリー。

チェリーアイコン

「待って私も一緒に行く〜!」